叡智と探求の白メガネ

気まぐれで読んだ本・プレイしたゲーム・見たアニメなどの感想を呟いていく予定です。

「デート・ア・ライブ Twin Edition 凜緒リンカーネイション」の感想

*この記事にはネタバレが含まれています。

 

 こんにちはこんばんはあけましておめでとうございます。年は明けまして、ついにスマブラSP買ってしまいました。ディシディアでよく使ってるセフィロスが参戦したのと、緊急事態宣言で自粛期間が増えそうだったのでね。スマブラなんてX以来ですよ、10年ぶりにGCコン引っ張り出して変換アダプタと有線接続USBとスイッチオンラインに加入して…ってやること多すぎワロタw でも面白いですねこのゲーム!セフィロスの空上広スギ謙信とか、片翼のアーマー気持ちえ~って言いながら遊んでます。しかしいかんせんゲームやり過ぎで忙しい。コンシューマーではNT、蓮ディストピア、マリオ3D、スマブラ。ソシャゲもプリコネ、ライバルズ、タクト、ポプマス(始めてすらない)やることが多すぎる…!アニメを見て漫画に本も読むと忙殺されます。オタクは活力を失った時が寿命なのだ。何かをやりたいという根源の欲望を持ち、生きて、足掻け…!

 

 さて、今回は2015年7月30日に発売された(5年前でワロタ)PS Vita向けゲーム「デート・ア・ライブ Twin Edition 凜緒リンカーネイション」についてやっていきたいと思います。いや違うんすよ。ゲームを買ったのは発売日当日ですし、なんなら限定版を予約してました(凜緒のタペストリーが欲しくてワンダーグー)ただね?こういうテキストADV、いわゆる紙芝居ゲーってやるのに結構モチベが必要じゃないですか?体力はいらんけど、逆に軽すぎてだれちゃうっていうか。何が言いたいかというと、凜祢ユートピアを数ルートだけやって放置してたんすわ。んで半年後くらいに凜祢ユートピアだけトゥルー取ってまた放置。終わりだ…… そして気づいたら2020年も秋、ある日転機が訪れます。何があったかお分かりですね?そう、デートの新作ゲーム「蓮ディストピア」が発売されたのです(大人の事情で約1年発売延期してたけど)。さらに本編が完結したのもあって僕の中でデート熱が再燃。ついに重い腰をあげて凜緒リンカーネイションへ再び手を伸ばしたとさ。ちなみに蓮ディストピアはまだクリアしていません。ガッハッハ!w

 

 

目次

 

凜祢ユートピア

 まずは記念すべきゲーム1作目、凜祢ユートピアから。これはオフレコで頼みたいのですが、デートは原作から入ったこともありアニメというか声優さんの演技がほぼほぼすこれないんですよね。原作モノの宿命なので仕方ありませんが、どうしても原作から入ったコンテンツはイメージしていた声との乖離が起こってしまいますからね。おまけにつなこ先生のイラストで育ってきたこの身は、アニメの作画にも違和感を覚えてしまいます。アニメにおける三本柱とは声優・作画・脚本。二柱も欠けたらそらアカンってわけよ。なのでアニメやドラマCD、ゲームに映画と全て薄目で楽しんできましたとさ。原作厨は黙っとけってコメントはNG じゃあ見るなって?楽しめるかはさておき、全て経験しておくのがファンの義務なのだ。

 話は戻って、突然現れた幼馴染とかいう矛盾したヒロインに疑問符を浮かべた本作。ニセコイかよ 原作4巻と5巻の間の物語ということで、攻略可能キャラは十香・折紙・四糸乃・狂三・琴里の5人+……?といったところ。僕はこの中だと四糸乃が一番好みなために彼女から攻略を始めました。これがデートでは初めてのゲームだったわけですが、橘公司先生が原案・監修していると謳っているだけあってストーリー展開に筋が通っていたのが良かったですね。ほら、完全オリジナルストーリーとか、新キャラとか出てくると設定の矛盾とかが出てくるのが世の常じゃないですか。けれどもこの作品はそんなことなくて、各キャラエンドの突拍子もないような終わり方(折紙とか特にね)や、凜祢が原作に出てこなかった理由とかがハッキリとしている。そこがポイント高いですね。

 それぞれのキャラルートは…特筆すべき所は特にないかな!(笑) ……まあ強いて挙げるなら四糸乃の4日目1回目のデート、遊園地に行くイベントですかね。そこでお化け屋敷か観覧車かの選択肢がありましたが、その正解択がお化け屋敷だったのが個人的に意外でした。僕の中で思い浮かべている彼女と齟齬があったというか、有り体に言えば解釈違いだったというか。かなり後出しじゃんけんに近い選択肢じゃねぇかとも思いましたが、プレイした後ではまあそんな考えもあるかと思えたり。全体を通してちょいちょい理不尽な選択肢があったのが気にはなりましたね。神無月さんからの通信関連(琴里とか折紙とかの)は分かるかボケ!って吠えながらプレイしていた記憶があります。

 これは凜祢ユートピアというゲームを通して言えることなのですが、このゲーム主人公が死にやすすぎる!衛宮士郎もかくやと言わんばかりのデッドエンドの数々。数えたら15もバッドエンドあってワロてる。とは言え各キャラ5日目夜の選択肢はまだ分かる。キャラルートへの分岐点でもあり、しくじれば死ぬ…!みたいな雰囲気がビンビンでしたからね。それだけでは飽き足らず、階段登ったら死ぬわ、ヒロイン(凜祢)の家に入ろうとしたら死ぬわ、極めつけにホラー映画見たら死ぬわでもう散々。精霊の精神状態に気を使え、と琴里から口酸っぱく言われていたものの本編では絶対に見られないような終わり方なので、真新しさという点では唸るものではありました。もっともそれはメタ的な話であり、マジメにプレイしている側からすればたまったもんじゃないのはご愛嬌。没入感を高めているとも言えるかもしれん。

 そしてメインディッシュたる凜祢ルート。正直このルートをやるまでは虚無みたいな感情しかありませんでしたが、大どんでん返しを魅せてくれました。いきなりであれですが、このルート入るの微妙に大変ですよね。各キャラエンドを迎えるだけでなく、最後の選択肢で呼び出しに応えないといけない。これまではシンプルな紙芝居ゲーといった印象でしたが、唐突に謎のフラグ管理を要求されてビビりましたね。これ普通にプレイしてたら気づかなかったんじゃないかな… そんな苦難を乗り越えた先に待ち受けていたのが、今作のメインヒロインである園神凜祢という少女。いやあ…良い……。CV花澤香菜の時点でオタクホイホイされた気もしますが、トニカクカワ...可愛い。何と言ってもその慈母神の如き包容力に癒されること請け合い。ほら、デートのヒロイン達って良くも悪くも個性が強いキャラが多い…というかほとんどじゃないですか。そんなアクが強すぎるヒロインたちの中で、押しも押されぬ安心感を発揮していた凜祢。それは精霊の対応に追われてすり減った僕の心を癒してくれる、文字通りの天使に見えたわけです。やっぱりヒロイン力ってわけよ。

 ところがぎっちょん、凜祢その人こそが今回の騒動の黒幕だったとさ。そらそうだ。でも凜祢や天宮市を覆う結界について、共通ルートや個別ルートを通じて少しずつ判明していくのが、さながら楽園の果実に手を伸ばしていく感があっていいですよね。なんなら怪しさしかなかった彼女ですが、その目的だけはこちらの想像を上回るものでした。彼女の本質は他人からすれば歪とも取れるもので、その狂った姿はどこまでもまっすぐなもの。特典小説の凜祢バスタイムとかとくに顕著で、士道の幸福を高らかに謳いあげる様はまさに狂気。震えるぜ。そんな凜祢とのデートはどこかデジャブを感じるものばかりで、士道くんの立場からもループを知覚できる演出がなされています。ループものというギミックについても、凶禍楽園の権能という極めて理にかなった理由付けがされているので没入感も抜群。この凶禍楽園という天使、初めて知ったときはなんとよく出来た設定なんだと感心しきりでしたね。あまりにもゲームという媒体におあつらえ向きだからか次回作以降でも使い古されていくのは致し方なし。さておき、新天宮タワーのコアにて待ち受けていた彼女の正体は「巨大な霊力の残滓」という人ならざる存在。澪や万由里がそうであったように、霊力のみから成る彼女は士道に霊力を封印されてしまうと存在そのものが消えて無くなってしまう。少し考えれば分かりそうなことですが、これまで精霊の力を封印して救ってきた彼に土壇場で考えろというのは酷な話でしょう。凜祢ルートの終盤は士道くんにがっつり感情移入してプレイしていたため、無へと帰す者を破ったあたりで僕の涙腺もボロボロになりました(´;ω;`) 凜祢…一緒に帰ろうって約束したじゃないか…… それだけにMEMORY205、凜祢ファンタジアの破壊力は抜群。あそこの士道くんなかなかイケメン度高めよね。にわかに現れた転校生に動揺するでもなく、優しく出迎える器のデカい漢の中の漢。短いイベントながらも、本編の余韻で荒れ狂っていた感情が優しく洗われていく心地よさがありました。

 ここで終わらないのが凜祢ユートピアというゲーム。そう、地獄のメモリー回収です… 始めたばかりの頃は特に気にしていなかったため、どのルートのどの選択肢を選んだというのはまったく覚えておらずコンプには多大な労力を要しました。マイナーなゲームなため詳しい攻略サイトも無く、頼みの綱は昔どこかで買った攻略本(パーフェクトビジュアルガイド)(笑)という有り様。特に琴里とか凜祢の1日目別ヒロイン→2日目当人で発生するイベントとかすこぶる厄介でしたね。あやうく存在すら気づかない所だったので、ありがとうパーフェクトビジュアルガイド…といったところ。その果てに待ち受けたるは…トロフィー1個w …違う、馬鹿にしているわけじゃない。メモリーコンプという結果こそが大事なのだ。ちゃんちゃん。

 

或守インストール

 続きましてゲーム2作目、或守インストール。今度は原作7~8巻のストーリーで、八舞姉妹と美九が新たにヒロインとして参戦。さらに舞台は現実の天宮市を離れ、ラタトスクの技術の粋を結集して作られたスーパーシミュレーテッドリアリティ(原文ママ)の電脳世界。この設定のおかげで前作にも増して自由な迷イベントの数々が生まれる事になるとは…… 凶禍楽園の制約すらも乗り越え、ありとあらゆるギャルゲーらしいイベントが作られているのが今作の大きな魅力と言えるでしょう。非日常的なイベントについて唐突な展開も嫌いではありませんが、やはりなんらかの説得力あるギミックがあると嬉しいですよね。

 個別ルートで印象的だったのは…四糸乃のノーマルエンドですかね() よしのんウェディングとかいうタイトルもポイント高い。こんな急におめでとうとか言ってくる意味わからん最終話の入り、どこかで見たような…?デートのゲームって結構パロディネタも入れてきますよね。まあ冗談はここまでにして、今作では夕弦のグッドエンドがなかなかイイ感じでしたね。八舞ルートとかいう巫山戯たルート統合は許せませんが、このゲームをやった後では間違いなく夕弦に対する印象が良い方向へとシフトしました。これは耶倶矢にも言えますが、原作だとどうしても八舞姉妹でセットな事が多く、イマイチ彼女単体での魅力というのは語られることなく完結してしまいました。七罪編とかは神のみの女神編を彷彿とさせて良かったんですけどね。こういうたくさんキャラが出てくるタイプのラブコメは、いろんなキャラを大事にしてくれると読者としては嬉しいもんです。話を戻して弓弦ですが、先述の通り彼女とサシでデートをする機会が貴重なためメチャクチャ可愛く見えてきます。大和撫子のような奥ゆかしさと、普段の姿からは想像できない大胆なアプローチ。風待さんちの八舞さんとはまた違う気勢の良さがあって、変な特徴的な口調から目をそらせばマジで最強のヒロインなんじゃねぇかな…(個人の見解です)わ、私は弓弦の事なんてなんとも思ってないんだからね!

 気にいらないポイントを挙げるとすれば、キャラが増えた弊害からか1人あたりのイベント量が少なくなったように感じました。正確に測った訳ではありませんが、体感ではどうもボリュームが減った感が拭えません。しかし前作では共通ルート(シナリオ)は冗長に感じてたため、そこが短くなったのは逆に好印象。天狗牛のくだりなんか耳タコですよまったく。そして短くなったと言えば、バットエンドが消えとる……?足きりエンドだけは生き残って(?)いますが、前作でさんざ殺された身としてはなんだか名残惜しい…いやそんなことはねぇわ。なんべんやられたと思っとるねん。凜祢と比べると鞠亜は随分心優しいのかもしれないですね(バッドエンド一直線なセリフ)

 あとはあれだ。キャラルートのノーマルエンド、グッドエンドのどちらに分岐したのかがEDムービーの後に判明するため、条件を満たせたのかが分かりづらいのが厄介でしたね~。このゲーム、好感度推移がどうなっとるのか全く分からないのがなんとも、選択肢後のテキストで判別するしかない。凜祢ユートピアの攻略本も変動する数値自体は載っていましたが、ルート分岐の条件だけは一切合切不明。クリアはしたけど、もっかいソラでやれって言われたら普通にノーマルエンド行く自信がありますわ。

 それでは本命に行きましょう。鞠亜、すこだ…… 電脳世界の中で「愛」とは何かを問うてくる今作のオリジナルヒロイン、或守鞠亜。ヤバい。何がってそりゃ可愛さよ!彼女は「愛の観察」という目的で士道たちに接している以上、そのルートに入るまでは魅力の半分も発揮されていないハンデがありますが、そんなことは関係ないと言わんばかりのヒロイン力。なんとかは三歩後ろを歩けと言ったり言わなかったりしますが、この少女はそれを地で行くかのごとき正妻力で全てを破壊し、勝利せよ(?)これが平成のバハムートか… 中でも一番僕的ラブポイントが高いのは、鞠亜の感情がだんだん豊かになっていった所ですかね。何が良いって、周回(≒愛の観察)を重ねるごとに彼女の行動に人間味が増していくんですよ。最初の週では、読んで字のごとく無機質な受け答えばかりだった鞠亜。そんな彼女がですよ?2週目、3週目と進めていくうちに新たな反応を見せてくるのはニクいと言わざるを得ない演出。追加される立ち絵でも、不意に見せる笑顔といった趣が強く出てて盤面全崩壊。これは13点くらいあるわ。ゲームの世界という設定を活かし、プレイヤーの視点と鞠亜の視点を半ば同一化させるのは使い古された手法とも言えます。それでも使われるのは面白いから、この一点に尽きるわけですね。

 さらに忘れてはいけないのはこのお方、或守鞠奈さん。鞠亜共々その正体はバレバレなようで、微妙に想像からは外れてきたのが面白い。僕は原作を先行して読んでしまっている関係上、資材Aもとい二亜や、マリア及びニベルコルについて知っていたのがなんとも惜しいものです。ゲーム発売当時はPS3を持っていなかったことや、先述の通り「ラノベ原作のゲーム?ハッ、あんなものアニメから入った愚者がやるモノだね!」とかいうスタンスだったため買うことはついぞ無かったとさ。あの頃は僕も青かった。話は戻して鞠奈ですが、ま~清々しいほどのツンデレチョロインって感じ。彼女が生まれた背景や今回の件の動機など、背景自体はそこそこ複雑ですがチョロい事には変わらない。ここまで属性が一極化されているヒロインは逆にありがたく、変に考えなくてもいいのが素直に推せる安心感を生み出しています。属性は多いほどが良い派VSモリモリはキャラがぶれる派の戦いが待たれる。…まあ鞠奈単独のルートは無かったんだがな!実質イリヤみたいなもんよ(?)有料パッチあるいは次回作に期待!

 でもやっぱり鞠亜だよなぁ。彼女とのデートは本当に楽しかった。士道をからかうような諧謔を見せたり、他の女子に嫉妬してみせたり、褒められた事を恥じらう可憐な姿を見せたり。ルート終盤の展開がどうこうとかではなく、単純にキャラパワー(?)が高いって感じがします。現実の女の子よりなお女の子らしい、まさしくぼくがかんがえたさいきょうのヒロインを体現したかのような、究極のヒロイン像がここにあります。まあぶっちゃけ好みの問題ですが。僕的にはデート本編の精霊たちと比べてもかなりtier上位に付けています。然るに理想のヒロインというのは皆が皆違うものであって、たまたま今回鞠亜が僕にとっての理想に限りなく近かったという話。誰かを好きになるのに理由がいるかい?

 ちなみにちなむとメモリーコンプ自体はサクッとできました。今回は前作の反省を活かして最初からCG及びメモリー回収を念頭に置いたうえでプレイし、加えてルート分岐の簡略化もあったのでサクサクっとね。たぶん後者がデカい。

 

凜緒リンカーネイション

 ラストは3作目、凜緒リンカーネイションです。今回はゲーム新作というより1,2作目の追加ストーリーといった趣が強い作品。つまり鞠奈が…!?初めてメモリーを覗いた時は40も無いのにビビりましたね。コンパクトさもまた美徳ってこと。あとあれだ、今回面白かったのがダイジェストの存在。今までは全編フルボイスを謳っておきながら、士道くんだけ喋れない悲しみを背負っていました(喋らない事はちゃんと書いてある)そんな彼にもついに声帯が実装!士道くん(≒プレイヤー)視点で凜祢ユートピア、及び或守インストールのストーリーを振り返ってくれるありがたいモードで存在感をアピールします。いやいや、こんなん別にやらんでもええやろwなんて思っていましたが、いざ始めてみると自らの浅はかさを思い知らされます。あれらの話を士道くんの声と共に振り返るというのは相応の破壊力が伴うということを…… 特に凜祢ユートピア、凜祢を救えなかったと知った際の慟哭は知っていたとしてもクるものがありました。声があるだけで違うもんですね。

 んでもって気になる今作のストーリーですが、恐らくデート史上最も若いヒロイン(?)凜緒が登場。声がいい… CV佐倉綾音の舌ったらずで甘えた声に脳が震える。その四糸乃や七罪をも上回る圧倒的なロリっぷりで、士道くんにぼくだけの幼稚園を作らせようと画策…はしませんでしたね、ハイ。ビジュアルからもうインパクト抜群ですが、真に驚くべきはその名前。彼女は自らを「園神凜緒」と名乗り、士道くんの事を「パパ」と呼んできたんですよね。PAPA。ええ、彼はいつかやると思っていましたよ… でもなくもなくて、園神と言えば凜祢の苗字。怪しさ満点ですね。いちばんだいじなもの、一体何のことやろなぁ…。

 さておきまずは共通ルートですね。あくまでもゲームオリジナルキャラたちがメインというわけで、本編の精霊たちはまあちゃちゃっと。とは言えストーリーのメインが彼女らなだけであって、精霊組との会話から伺える関係性は良いもの。なにせもう二度と見られることは無いと思っていたわけですからね。鞠亜と耶倶矢が意外と相性いい(諸説あり)とか、十香と折紙に凜祢が混ざると急激にマイルドさが増すとか。凶禍楽園の中でしか見れない景色もあるんです。要はあれですよ、プロデュースカードとサポートカード、それぞれのコミュに違った良さがあるってハナシ。…たぶん違うな。

 んでストーリーも短めなのでさっさと本題に。どのエンディングがあなたにとっての「いちばんだいじなもの」でしょうか。僕にとってはそうですね、やはり凜緒エンドですか。凶禍楽園の存在を一度は否定した身ながら、それが崩壊した後に価値を見出すのはずるいようにも思えます。でもしょうがないよね。もう二度と手に入らないと思っていた世界が、人が、再び姿を現したら、過去の自分を否定することになっても手を伸ばしてしまうでしょう。これらはトゥルーエンド意外に総じて言えることですが。なかでもこの凜緒エンドは実質凜祢エンドとも言えるもので、かつてのルーラーも今度こそ幸せを掴めたのだと感慨深くなります。遠い未来で士道と凜祢が授かった子供は、凶禍楽園の力そのもであった凜緒と関係が…いや、これは無粋な話。なによりも輝く彼らの幸せな顔こそが、僕にとっても「いちばんだいじなもの」であったということです。

 それはそれとして日本1億2000万の鞠奈ファンの皆様。お待たせしました、待望の鞠奈エンドのお時間です!或守インストールではやりきれない思いをした方も多いでしょう。およそ1年の時を経て生まれた個別エンド、リアルタイムでプレイしていた人たちにとっては感涙ものだったのでしょうね。僕は別に彼女の熱心な信者というわけではありません、あしからず。とにかく、彼女の個別エンドだけは他とは一線を画すものでした。…まあ言わばギャルゲのそれなのですが。夜の公園で再び再会したのは凜緒から力を受け継ぎ、新たな楽園の支配者となった鞠奈。うん、シチュエーションもばっちり!月夜の下で人間として精一杯生きることを誓う彼女ですが、短いながらも一つ一つのセリフにエモさがにじみ出ている。ここに来てひどく積極的な姿を見せるのもいいし、自分の事を素直じゃないと自覚しているのも良い。抱いている感情を「好き」ではなく「愛してる」と表すのも誰かを思い出させるし、それを「本物」と強調するのは凶禍楽園の中での発言と考えるともう感無量。やっぱ鞠奈なんすよ~!それに対する「でも、それはきっと――まだ、恋じゃない。」という士道君の内心がもう百点満点。普段はラタトスクの意向上攻略する側に回ることが多い彼が、される側になった視点はとても新鮮でして。受け手に回ってもその真摯さは変わらず、これから鞠奈との歩みを進めようとするのがグッドデザイン賞受賞って感じ。そう、彼女とはこれから思い出を作っていくんですよ~。鞠奈…幸せになろうな…… 今作のトゥルーエンド(と足切りエンド)を除くエンディング全ては、士道君が凶禍楽園の継続を望んだ世界。これはある種バッドエンドとも言えるもので、沙耶の歌だとか天気の子みたいな印象を受けました。こういう受け取り手によってグッドエンドだったりバッドエンドに姿を変える手法って面白いですよね~。

 ここからはゲーム以外のお話で、まずドラマCD。この銭湯が危ない2015開幕!この展開凜祢の時も見たな… 或守バスタイムでは、鞠亜も鞠奈も方向は違えど、まっすぐに可愛いのが実に姉妹といった感じで素晴らしい。鞠亜のひたむきさも、鞠奈のいじらしさも、等しく魅力たりえるもの。さらにちょいデレ凜緒も付いてくる欲張りセット。ビジュアル化不可能に思われる禁断の世界は、本当にちょいデレシチュエーションなのか?と疑問に思われる怪しいライン。凜緒のゆったりとした歌声に乗せられた物真似が耳に心地よいです。でもこの時の士道くん気が気じゃなかっただろうな… いやこれは親子(?)が戯れているだけだから!デート・ア・アイドルは……士道くん疲れてるのかな。あのキャスト陣で士道くんが一番目立ってるのなんなんだ。そして特典小説のSS。もうこれ実質本編でしょ!凜緒エンドをよりはっきりと描写したようなストーリーで、他キャラたちの未来の姿も見れたり。凜緒のよしよししてあげたい感は異常。こんな家庭が欲しいだけの人生だった…

 

 次回、そう遠くない未来に蓮ディストピア編!(自分を追い込むスタイル)ではまた会う日まで。